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- 日常の生活でシャントについて注意する点を、教えてください。
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内シャントの場合、生活の制限はほとんどありません。
ただし、以下のことや類似行為などには注意が必要です。
- 1シャント側の腕は腫れやすいので指輪や腕時計はしない
- 2シャント側の腕で重いものを持ったり、ぶら下げたりしない
- 3シャント側の腕にケガをすると大量に出血する恐れがあるため、外傷には気をつける
- 4シャント側の腕で血圧測定は行わない
- 5穿刺をして透析をした日は入浴をしない(翌日は入浴できます)
- 6シャントの感染を防ぐためにも、シャントのある腕を清潔に保つ。(透析日は透析前に石鹸をつけてよく洗い、水で洗い流して清潔なタオルで拭いてください)
- 7腕枕などのように長時間ヒジを曲げたままにしない
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- シャントの観察について教えてください。
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血液透析を行うためには、1分間に150~250mlの血液を体外に抜き出す必要があります。そのために重要な役割を持つシャントを大事に使うためには、日頃からの観察が必要になります。シャントの観察には、次の3つのポイントがあります。
- 1見る
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- 静脈はよく膨らんでいるか? 凹んでいるところはないか?
- 手や腕の皮膚に異常(発赤・腫脹などの感染兆候)がないか?
- 指先の色が変色していないか?
- 手や腕に汚れがないか?
- 2聞く
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- 聴診器を使用して、シャント音を広範囲に聞いていますか?
- 「ザーザー」と連続している音 → 問題なし
- 「ヒューヒュー」や「ザッ、ザッ」と音がする場合 → 要注意
- 3触れる
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- シャント血管に指もしくは手のひらを当て、ざわざわした感じ(スリル)があるか?
(良好なスリルの場合、シャント血管が柔らかく感じます)
(血管に狭いところがあると、スリルが感じられなくなり、代わりに心拍に合わせた拍動になり、シャント血管が固くなった様に感じます)
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- 穿刺(せんし)をする場所はどこでもよいですか?
- 透析には何らかのバスキュラーアクセスが必要であり、針を血管に2本穿刺することは避けて通れません。穿刺のトラブルが少なく、長期にわたってシャントが使用できることは大切です。そのためには、適切な穿刺場所を選ばなければなりません。
血管の狭い範囲に繰り返し穿刺すると、痛みを感じにくくなったり、血管が拡張して穿刺しやすくなります。しかし、長く同じ場所に繰り返し穿刺すると血管の壁が弱くなって瘤(りゅう)を作ったり、止血する力が弱くなります。また、狭窄(血管の内部が狭くなること)や閉塞(血管が詰まってしまうこと)する可能性が高くなります。よって、血管のできるだけ広い範囲にまんべんなく穿刺することが望ましいです。
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- シャントはどのくらいもちますか?
- シャント血管には1回の透析で2本の針を穿刺されます。これを週に3回するため、1年(52週)では約300回穿刺されることになります。そのため、シャントの血管は徐々に疲弊してきます。
シャントの寿命は個人により異なりますが、大まかに言うと基礎疾患が糖尿病、高年齢者ほど開存率(血管の詰まりにくさ)が低くなります。これは、血管病変や動脈硬化を有する・有しやすいことと関係しているからだと考えられます。この他に心合併症を有している患者さまや長期にわたる療養により末梢の静脈系が疲弊している患者さまは、シャントの寿命が短いと言われています。