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透析治療を知る

費用・制度について

透析を導入した後の医療費について

1か月の透析治療の医療費は、患者さまおひとりにつき外来血液透析では約40万円、腹膜透析(CAPD)では30~50万円程度が必要といわれています。このように透析治療の医療費は高額ですが、経済的な負担が軽減されるように、さまざまな医療費助成制度があります。必要な手続きをすると次のような制度を利用することができます。

健康保険に加入されている透析患者さま全員が対象
(1)特定疾病(特定疾病療養受療制度)
条件に該当する患者さまのみ対象
(2)重度障害者医療費助成制度
(3)自立支援医療(更生医療)制度
(4)東京都医療費助成制度
(5)指定難病医療費助成制度

(1)特定疾病(特定疾病療養受療制度)

「人工腎臓(人工透析)を実施している慢性腎不全」の患者さまの自己負担金を軽減してくれる制度です。各医療機関窓口での自己負担金が1か月1万円(上位所得者は2万円)となります。
ただし、1か月のうちに入院と外来の両方があった場合は、それぞれに1万円の自己負担をするため、合計で2万円となります。上位所得者については、合計で4万円の自己負担金が発生します。

申請方法

[ 必要書類 ]
特定疾病認定申請書
保険証
印鑑
[ 申請の流れ ]
1特定疾病認定申請書を記入する。
2医療機関にて医師の証明を受ける。
3加入している保険者(国民健康保険・社会保険など)の申請窓口にて申請を行う。
4受療証が届いたら、通院している医療機関へ提示する。

申請の流れ

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申請窓口

  • 加入している保険
  • 窓口
  • 国民健康保険
  • 区市役所・町村役場の国民健康保険課
  • 被用者保険(社会保険)
  • 各健康保険組合、または全国健康保険協会
  • 後期高齢者医療被保険証
  • 区市役所・町村役場の後期高齢者医療制度担当
  • 国民健康保険高齢受給者証
  • 区市役所・町村役場の国民健康保険課
  • 健康保険高齢受給者証
  • 各健康保険組合、または全国健康保険組合

(2)重度障害者医療費助成制度

健康保険に加入している重度障害者の方の自己負担金を助成してくれる制度です。
ただし、入院時の食事代と室料・文書料など保険の対象とならない費用は自己負担となります。
この制度は、都道府県、市区町村によって名称・助成対象・所得制限の有無・一部負担金の限度額などが異なります。

対象者の例※各市区町村により異なります
身体障害者手帳1級・2級を持っている方
愛の手帳1度・2度を持っている方
知能指数が35以下と判定された方
3級の身体障害者手帳の交付を受け、かつ知能指数が50以下と判定された方
1級の精神障害者手帳を持っている方 など
対象外の例※各市区町村により異なります
所得制限基準額を超える方
生活保護等、すでに給付を受けている方
65歳以上になってはじめて障害者に認定された方
65歳に達する日の前日まで重度障害者医療費助成制度の申請を行わなかった方
後期高齢者の方で、かつ住民税が課税されている方 など

申請方法

[ 必要書類 ]
お手持ちの身体障害者手帳または愛の手帳など
健康保険証
印鑑
所得を証明するもの など
※各市区町村により異なります

申請窓口

区市役所・町村役場、保健福祉センター、福祉事務所

更新方法

自動更新です。ただし、所得によって助成額の変更や資格喪失となる場合があります。記載内容の確認が必要です。

(3)自立支援医療(更生医療)制度

更生医療は、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できるものに対して提供される、更生のために必要な自立支援医療費の支給を行うものです。
ただし、所得により自己負担金が発生する場合があります。また、この制度を利用するには、自立支援医療機関の指定を受けている医療機関で受診する必要があります。

対象者

身体障害者手帳の交付を受けた方で、その障害を除去・軽減する手術などの治療により、確実に効果が期待できるもの(18歳以上)

<腎臓の場合>・・・腎臓機能障害 → 人工透析療法、腎臓移植術(抗免疫療法を含む)

申請方法※各市区町村により異なります

[ 必要書類 ]※申請書・概略書・見積り明細書等の様式は、市区町村の担当窓口にあります。
自立支援医療費(更生医療)支給認定申請書
自立支援医療(更生医療)意見書(概略書・見積り明細書等)
身体障害者手帳の写し
医療保険の加入関係を示す書類(受診者及び受診者と同一の「世帯」に属する方の名前が記載されている医療保険被保険者証等の写し)
「世帯」の所得状況等が確認できる書類(住民税課税・非課税証明書等)
特定疾病療養受療証の写し(腎臓機能障害に対する人工透析療法の場合)

申請窓口

区・市にお住まいの方は、区市福祉事務所、または区市役所障害者福祉主管課
町・村にお住まいの方は、町村役場障害者福祉主管課

公費で負担してくれるもの

  • 透析医療に要する費用。ただし、各種医療保険等を先に適用します。
  • 介護保険法による訪問看護、訪問リハビリテーション、医療機関の通所リハビリテーション、介護療養施設サービスに要する費用(更生医療に関するものに限る)。ただし、介護保険を先に適用します。

自己負担しなければならないもの

医療費の原則1割負担です。
また、入院時の食事代と室料・文書料など健康保険が使えないものの負担があります。
ただし、「世帯」の所得や疾病等に応じて、自己負担上限月額が設定されます。

[ 負担上限額 ] 透析患者さまは“重度かつ継続”に該当します。

  • 所得区分
  • 更生医療
  • 重度かつ継続
  • 一定所得以上
  • 住民税
    235,000円以上
  • 対象外
  • 20,000円
  • 中間所得2
  • 住民税
    33,000円以上235,000円未満
  • 医療保険の自己負担上限額
    (高額療養費制度)
  • 10,000円
  • 中間所得1
  • 住民税
    課税以上33,000円未満
  • 医療保険の自己負担上限額
    (高額療養費制度)
  • 5,000円
  • 低所得2
  • 住民税 非課税
    (本人収入が800,001円以上)
  • 5,000円
  • 5,000円
  • 低所得1
  • 住民税 非課税
    (本人収入が800,000円以下)
  • 2,500円
  • 2,500円
  • 生活保護
  • 生活保護世帯
  • 0円
  • 0円

対象となる医療機関等

指定自立支援医療機関の指定を受けている医療機関のみ

(4)東京都医療費助成制度

東京都独自の制度。人工透析を実施している慢性腎不全の患者さまに対し、人工透析の医療費の自己負担金を助成してくれる制度のことです。医療機関窓口に健康保険証・特定疾病療養受療証をともに提示することにより、1万円までを助成してくれます。

※助成が受けられる医療は、人工透析に関わる医療に対してのみです。
申請をすることで利用が可能になります。東京都独自の制度ですが、神奈川県の透析施設においては、医療機関の
契約により利用が可能です。

対象者の例

  • 以下の3点すべてを満たしている方が対象です。
  • 東京都に住所を有する方
  • 公的医療保険に加入している方
  • 人工透析を必要とする慢性腎不全の方
  • ※3点を満たしている方であっても生活保護の方やその他の法律による医療の給付を受けている方は対象外となります。

申請方法

  • 下記を各市区町村の窓口に提出する
  • 難病医療費助成申請書兼同意書
  • 住民票の写し
  • 健康保険証
  • 高齢受給者証(お持ちの方のみ)
  • 特定疾病療養受療証
  • ※各市区町村により異なる場合があります

更新方法

自動更新ではありません。更新時期は毎年10月ですが、医療券の発行までに1か月程度かかるため、9月中には更新の手続きをしなければ自己負担金が発生してしまう期間が生じてしまいますので、早めに更新しておくと安心です。
更新手続きに必要な書類等は毎年6月中旬ごろに福祉保健局から「有効期限満了のお知らせ」とともに送られてきます。

(5)指定難病医療費助成制度

原因が不明で、治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち、厚生労働大臣が定める疾病を“指定難病”といいます。指定難病の患者さまの自己負担金を軽減してくれる制度です。指定医療機関で行われた医療に限られます。

対象者

  • 指定難病に該当する方

申請方法

[ 必要書類 ]※各市区町村により異なります
特定医療費支給認定申請書
臨床調査個人票
世帯全員の住民票の写し
患者さまと支給認定基準世帯員の健康保険証のコピー
支給認定基準世帯員の市町村民税の課税状況の確認書類
※支給認定基準世帯員とは
指定難病医療費助成制度を利用するにあたり、健康保険証や課税証明書等を提出する方のこと。
患者さまの加入している健康保険の種類により異なります。
同意書
生活保護等の受給を証明する書類
世帯内に他に指定難病医療または小児慢性特定疾病医療受給者がいるまたは患者さまご本人が小児慢性特定疾病医療受給者である場合、その証明書類
軽症高額該当基準に該当する場合、その証明書類
要介護、要支援認定を受けている場合、介護保険被保険者証のコピー
障害基礎年金その他の給付金にかかる証明書類

申請窓口

※各市区町村により異なります
各市区町村の高齢・障害支援課

有効期限と更新方法

有効期限は、原則として申請に必要な書類を保健所等が受理した日から最初に到来する9月30日までとなりますが、平成28年10月以降に申請された方は有効期限が平成29年12月31日までとなります。更新の時期が近づくとお知らせが郵送されます。

自己負担しなければならないもの

受診した複数の指定医療機関の自己負担をすべて合算し、受給者は自己負担上限月額を限度として負担します。支給認定基準世帯員に応じて以下の表のようになります。

階層区分 階層区分の基準 自己負担上限月額(外来+入院+薬代+介護給付費)
一般 高額難病治療継続者 人工呼吸器等装着者
A 生活保護 0円 0円 0円
B1 低所得Ⅰ 市町村民税非課税
患者さま本人の収入~80万円
2,500円 2,500円 1,000円
B2 低所得Ⅱ 市町村民税非課税
患者さま本人の収入80万円超
5,000円 5,000円
C1 一般所得Ⅰ 市町村民税課税以上
7.1万円未満
10,000円 5,000円
C2 一般所得Ⅱ 市町村税7.1~25.1万円未満 20,000円 10,000円
D 上位所得 市町村税25.1万円以上 30,000円 20,000円

医療費軽減制度の利用方法について

公的医療保険の加入

負担割合、または限度額により自己負担金発生

特定疾病療養受療証の申請

透析導入後に
申請します!!

1か月の自己負担金が1万円または2万円となる

医療費軽減制度の利用

  • ● 重度障害者医療費助成制度
  • ● 自立支援医療(更生医療)制度
  • ● 東京都医療費助成制度
  • ● 指定難病医療費助成制度 ほか

所得に応じて、自己負担金なし、または自己負担金軽減

身体障害者手帳とは

身体障害者福祉法で定める程度の障害がある場合に、申請によって交付されます。国や各自治体で行われている障害者に対する医療的・社会的・経済的なさまざまな福祉制度を利用するための証明書です。
1級~7級に分けられます。

障害者手帳の種類

下表のように機能障害別になっています。
病名や手術の有無で決まるのではなく、症状・状態によって都道府県の基準があり、主治医がその基準に沿って目安を立てます。正式な決定は都道府県が行います。

  • 障害
  • 障害者手帳の種類
  • 視覚障害
  • 1~6級
  • 聴覚障害
  • 2・3・4・6級
  • 平衡機能障害
  • 3・5級
  • 音声・言語、そしゃく機能障害
  • 3・4級
  • 肢体不自由(上肢・下肢)
  • 1~7級
  • 肢体不自由<体幹>
  • 1・2・3・5級
  • 心臓機能障害
  • 1・3・4級
  • 腎臓機能障害
  • 1・3・4級
  • 呼吸器機能障害
  • 1・3・4級
  • ぼうこう直腸機能障害
  • 1・3・4級
  • 小腸機能障害
  • 1・3・4級
  • 免疫機能障害
  • 1~4級
  • 肝臓機能障害
  • 1~4級

申請方法

[ 必要書類 ]
申請書
診断書(主治医・指定医による)
写真(たて4㎝×よこ3㎝ 1~2枚)
印鑑
[ 申請の流れ ]
1指定の申請書類を取り寄せます。
2申請書を本人・家族が記入します。
3診断書を医療機関の主治医・指定医に記入してもらう。
4窓口に提出する。(区市役所・町村役場、保健福祉センター、福祉事務所障害福祉担当課)
5申請後、1~2か月で身体障害者手帳が交付されます。

申請の流れ

ピンチアウトで図を拡大

身体障害者手帳で利用できる主な福祉制度

~各都道府県・自治体や等級・機能障害により受けられるサービスが異なります。
 詳細は身体障害者手帳が交付されたときに窓口にてご確認ください~

  • 医療費の助成
  • 医療費が入院・外来や病名問わず軽減されます。都道府県により助成内容は異なります。
  • 自立支援医療(更生医療)の給付
  • 手術など医療を受ける際に、申請により費用負担が軽減される場合があります。
  • 税金の控除・減免
  • 所得税や住民税が控除・減免される場合があります。
  • 各種交通運賃の割引
  • JRなど鉄道の運賃・航空旅客運賃が割引になります。
    有料道路通行料金割引などもあります。
  • 障害者自立支援施策の利用
  • ホームヘルパーの派遣、福祉用具・日常用具の給付などがあります。
  • 障害者雇用枠としての就労への支援 など

愛の手帳とは

東京都愛の手帳交付要綱に基づき、知的障害者(児)の保護及び自立更生の援助を図るとともに、知的障害者(児)に対する社会の理解と協力を深めるために交付している手帳のことです。
知的障害者の福祉の増進を目的としているもので、障害の程度によって1度から4度に区分されます。

対象者

発達期に何らかの原因により知能遅滞がおこり、そのために日常生活に相当な不自由を生じ、福祉的配慮を必要としている方

申請方法

心身障害者福祉センター及び多摩支所(18歳以上の知的障害者)、各児童相談所(18歳未満の知的障害児)の判定を受ける必要があります。 心身障害者福祉センター及び多摩支所で判定を受ける場合は、センター及び多摩支所に直接予約申込みを行います。 児童相談所で判定を受ける場合は、お住まいを管轄する児童相談所に直接予約申込みを行います。

申請方法

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生活費について

治療費と合わせて心配になるのは生活の問題です。透析導入前で、体がつらくて働けない方、あるいは減給された方、また透析を受けるために退職され、今後の生活費のことを心配されている方もいらっしゃるでしょう。生活費などを支える社会保障制度の一部を紹介いたします。

障害年金

透析導入になると、加入している年金(厚生年金、国民年金、共済年金)より、障害の程度に応じて年金が支給されます。(年齢、初診日、保険料納付状況、障害の程度、障害認定日などの条件があります。)透析の方は2級に該当します。

健康保険の傷病手当金

サラリーマンや公務員の方が病気やケガで仕事を休み、給料が支払われないとき、健康保険から療養生活を保障するための手当金が支給されます。

生活保護

病気やけがによって収入が無く生活に困っている方々に対して、憲法第25条に基づいた生活保護法により国が生活を保障する制度です。(支給される保護費は地域や世帯の状況によって異なります。)

暮らしを支える制度について

安定した透析を受け続けるためには、皆さまそれぞれの生活状況に合わせた、暮らしやすい住環境を整える必要があります。公的サービスのほか、自治体独自のサービスもあります。

介護保険制度

介護保険によるサービスが必要な状況になったとき、申請することができます。介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。介護度に応じた給付額があります。

対象者

65歳以上、もしくは40歳から64歳までの方で厚生労働省が定める16の特定疾病に該当し介護が必要と認定された場合、介護サービスを受けることができます。

費用

利用料の1割負担(一定以上所得者は2割)

サービス内容
訪問介護(ホームヘルパーによる日常生活の介助や通院介助)
通所介護(デイサービス)
短期入所生活介護(ショートステイ)
訪問看護、訪問リハビリ
訪問入浴介護
福祉用具のレンタル(車椅子やベッド、歩行器など)
福祉用具の購入(ポータブルトイレや入浴用椅子など)
住宅改修(手すり、スロープの設置など)
介護老人福祉施設
介護老人保健施設 など

障害者自立支援制度

身体障害者手帳の交付を受けた方で、介護保険の対象とならない方が利用できる介護給付による障害福祉サービスです。申請手続きを行い認定された障害程度区分(区分1~6)によってホームヘルパーや通院介助などのサービスが利用できます。介護給付の他に訓練給付や地域生活支援事業などがあります。

費用

1割負担(所得に応じた月額上限あり)市区町村税非課税世帯は無料

その他

交通運賃の割引、税金の障害者控除、特別駐車許可証の交付等があります。

これらの制度は、皆さまが少しでも透析生活を安心して送れるよう、エネルギーとなる役割を果たしてくれています。申請手続きや制度利用については、どうぞお気軽に患者さま相談室のソーシャルワーカーにお声をおかけ下さい。